「働き方改革関連法」と働き方改革のポイント

働き方改革関連法」と働き方改革に関する検討(2018.8.31)

 

1.法改正の動向等


・平成30年6月29日、参議院本会議で可決成立。7月6日に交付。
平成28年9月から官邸主導で動き出した働き方改革が結実した形。
・今後、施行通達や省令の整備が進むため、実務的な取り扱いの詳細は未定。
 ※施行時期は、一番早いもので平成31年4月1日。以降順次施行。

 

 

2.働き方改革の項目(大きく3つ)と具体的な法律名

 

働き方改革の項目 改正される法律

 

(1)   働き方改革の総合的かつ継続的な推進

       雇用対策法

(2)   長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現等

       労働基準法
       労働安全衛生法 
       労働時間等設定改善法

(3)  雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保(同一労働同一賃金

      パートタイム労働法
      労働契約法
      労働者派遣 

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3.働き方関連法改正の概要(大きく3つ)

 

(1)働き方改革の総合的かつ継続的な推進
 「基本理念」、「国の施策」、「事業主の責任」などを明記。

 

(2)長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現等

 ①労働時間に関する制度の見直し
  (ⅰ)時間外労働の上限規制
  (ⅱ)中小企業における月60時間超の時間外労働に対する割増賃金の見直し
  (ⅲ)年次有給休暇制度の改正(5日の時季指定義務)
  (ⅳ)フレックスタイム制の見直し(清算期間の延長)
  (ⅴ)高度プロフェッショナル制度の創設(労働時間と成果の関連性)
  (ⅵ)労働安全衛生法における労働時間の状況の把握義務

 ②勤務間インターバル制度の普及・促進等

 ③産業医・産業保健機能の強化

 

(3)雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保(同一労働同一賃金

①不合理な待遇差を解消するための規定の整備

短時間労働者・有期雇用労働者について、正規雇用労働者との待遇差が不合理か否かの判断基準の制定。(ⅰ)職務内容(業務内容・責任の程度)、(ⅱ)職務内容・配置変更範囲、(ⅲ)その他の事情、に照らし、個々の待遇ごとに、当該待遇の性質・目的に照らして適切と認められる事情を考慮して判断されるべきと規定された。

 

②労働者に対する待遇に関する説明義務の強化

パートタイム労働者、有期雇用労働者、派遣労働者について、正規雇用労働者との待遇差の内容・理由当に関する説明が義務化された。

 

③行政による履行確保措置および裁判外紛争解決手続(行政ADR)の整備

 

 

4.考えられる企業法務実務への影響

(1)36協定の見直し・再締結
(2)労働時間の上限規制に対する就業規則改定
(3)時間外労働の削減に向けた取組み
(4)年次有給休暇の付与義務
(5)フレックスタイムの清算期間の見直し
(6)改正労働安全衛生法による労働時間の状況把握義務
(7)高度プロフェッショナル制度への対応
(8)参議院厚生労働委員会での附帯決議  等

 

 

5.働き方改革の経済効果

 ・Worl Life Balance施策と生産性指標(TFP)との相関
  同施策導入後、徐々に生産性に伸び。
 ・女性活用度と利益率の相関
  明確に正の相関。
 ・メンタルヘルスと利益率の相関
  明確に負の相関。

 

 

6.なぜ働き方改革が必要か(検討課題)。

労働人口の減少、少子高齢化
2000~2015年で270万人が、2015~2030年で410万人が減少する見込み。
従来の長時間労働・職種・勤務地無限定の正社員を中心とした「日本型雇用の在り方」に限界。


・新卒一括採用に阻まれる者、育児・病気ゆえに活躍が妨げられていた者、リタイヤした高齢者、多様な人材が最大限に力を発揮して企業の生産性を保持する必要。

 

・残業削減にどう取り組むか。

 

・労働法の在り方について。高度経済成長モデルの終身雇用・年功序列を前提とした法律で良いのか。

 

働き方改革の内容の検討が必要
残業、テレワーク、育児サポート、女性活躍推進、健康経営。WLB、年休取得、パワハラ・セクハラ・メンタルヘルス対策、転職・再就職しやすい環境